寺子屋 勉強室 |
遺伝子の35億年 |
1997年06月14日 実施 2011年11月07日 更新 |
講師:国立遺伝学研究所の教授 斉藤 成也 さん
最近『遺伝子の35億年』と言う本で有名になられたそうです。
本題 『遺伝子の35億年』 −− バクテリアから人間までの進化 −−
日時 平成9年6月14日(土曜日)10:00〜12:05
場所 日電第二別館10F 講堂にて
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22×2=44 と 性を決める XX(男)または XY(女)の2つ合計46の染色体からなるタンパク質の塊である。
染色体は4つの物質が、紐の様に約30億個つながった物である。
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染色体から見ると猿と人は 98.5% が同じで、異なるのは 1.5% だけである。
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単細胞動物から人間まで、すべての生き物は、遺伝子が次の世代の情報を受け渡しており、
この遺伝子によって 顔、脳、骨、、すべてが作られて行く。
人によって遺伝子は微妙に異なる。
例えば血液の中にある酸素を運ぶヘモグロビン一つを例にみると、
遺伝子の一ケ所が異なると形がまったく異なるヘモグロビンとなる。
この変形ヘモグロビンを持っている人が少数ながら存在している。(一部の部族に見られる)
血液型は元々A型しかなかったのに、B型が現れ、やがてその両方を持つAB型が出現し、
さらに両方とも欠乏したO型が現れた。
中南米の部族の一部には、その地域の全員がO型だけ、と言う部族がいくつもある。
脳の構造もかなり解明されてきた。
目と脳の関係も分かっており、脳の仕組みが遺伝学的に解明されるのも近かろう。
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遺伝子は分子時計を持っており、何年前に、何から分かれ進化してきたのかが分かるようになった。
私たち人間と猿とは4000万年前に分かれた事が分かっているし、
北京原人やジャワ原人は我々とは別の生物であると言う事も分かってきた。
つまり原人達は我々とよく似てはいるが、祖先ではないと言うことである。

アフリカでサルから発生した
人類は400万年かけて全世界
へと広がって行った。
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現在の人間はアフリカの猿から分かれた物である。
ほぼ400万年前には、地球上の全域に広く広がっていた事がわかる。
アフリカから、北へ、そして東へと広がり、ベーリング海を渡ってアメリカ大陸へ移動し、最後に南米へ渡って行った。
今から2000年以上前は南米が生物学的には最も新しい人類(生物学的に)が生存していた。
ほ乳類でみると、鯨はラクダが海にで暮らす様になったものであるし、
マナティと言う動物は、象が海に住むようになった事が分かる。
2億年前に猿が出現するが、これはカンガルーや鼠などと分かれた事が分かる。
もっとさかのぼると、植物と動物が分かれた時期も分かる、約20億年前に分かれた。
植物からわかれたあとで茸と動物が分かれたので、茸は植物より動物に近い生物だといえる。
茸などの胞子で繁殖する生物は約10億年前に動物と分かれた。
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人間の筋肉は3つに分類出来る。
最初に骨格筋が出来、次に平滑筋ができ、それらとは別に心筋が存在する。
遺伝子レベルでこれらの分類が出来るのである。
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進化は便利なようにだけ進化するとは限らない。
ビタミンC は、多くの動物や植物は体内で作る事ができる。
しかし人間は自分では作る事が出来ないので、食物として外から取り入れなければ生きて行けない。
大抵の植物はビタミンCを作っているし、動物の多くも体内で作っている。
人間の祖先である猿は、ある時期に、ビタミンCを作る部分が遺伝子から欠落してしまった。
しかし、猿は森の中で生活しており、ふだん木の葉などのビタミンCを含む物を餌として食べていた為に、
常に食物の中からビタミンCを取る事が出来ていた。
たまたま、この遺伝子の欠落が、生き続ける事に影響を与えなかったので今でも生存している事が出来ているのである。
もし、仮に、消化酵素を作る部分が欠落したと仮定すると、
そう言う動物の子孫は生きて行く事が出来ず死に絶えてしまうであろう。
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祖先帰りと言う現象も見られる。
鯨には骨盤はあるが足の骨は一部が無くなっている。
しかし30年ほど前に東北で捕獲された鯨には足の骨があった。
骨を作る部分の遺伝子が生き返っていたのである。
遺伝子は、突然変異でどんどん変わって行く、それが生きて行くために便利な物だけとは限らず、
困った状態に変化する事もある。
遺伝子の変化は、まったくでたらめに生ずる。
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A型と、B型はそれぞれA型酵素、B型酵素を持っており、この酵素の働きでガンになりにくい性質がある。
では、両方の酵素が欠乏しているO型はガンになりやすいはずである。
しかし、現実には大きな差がみられない。
どうやらO型は酵素をなぁんにも持っていないので、抗体を作り易い性質があり、もしかすると、
ガンに対しても抗体を作り易くガンに対する抵抗力があるのかもしれない。
この結果ガンに対する抵抗力が見かけ上、血液型によって変わらない様に見えている、と思われる。
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人種の研究がやり難くなっている。最近、国際結婚で混血が進んでいる、
近いうちに地球上のどこでも同じ様な人達になってしまうであろう。
遺伝学的には1万年前までの人間の遺伝を調べる事が正しい結果を導くと考えている。
それ以後は混血による雑種が出ているからである。
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地球上の細胞の数は人間が最も多くなる。
バクテリアも数は多いが、人間の細胞はかなり数が多い、バイオマス的には地球上で最大の生き物が人間だ、と言う事になろう。
30年後には人間以外の【野性のほ乳類】は、存在しないのではないだろうか?
トラ、クマ、家畜などを考えると、、ほとんどのほ乳類は人間が
人間の為に生かしている(食用か、または動物園などで保護している)物、だけになってしまいそうな勢いである。
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人の遺伝子(人ゲノム)は、世界中で分担して解明作業を続けており、
あと20年で30億の遺伝子の全てが解明される事になっている。
これは単なる作業なので、時間さえかければ解明できる事が明かである。
ただし、遺伝子の、どの部分が、体のどこの部分を作っているのかは、
遺伝子の構造が解明された後になる。
各部分の細胞毎に更に解明をして行く必要があり、かなり時間が掛かる。
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将来、遺伝子の解明が進めば、どんな生物でも作り出せる時代になるのかもしれない。